メイド イン チャイナ(コラム)

「コロナ禍」がここアジア圏でも一応の終息の目途がついてきた。厳しい規制が続いたこの3年間は、政治経済の歴史においても大転換期だったと言える。

そこで、今回はあらためて中国でのものづくりの現状を書き記しておこうと思う。

かつて「中国製」と言えば、日本で売られているものをそのまま模倣して作れば、非常に安価で仕入れることができ、それを従来の値段より安く設定した価格で販売すれば、当然売り上げも増え、結果たくさん利益が残った。

それから20年。この歳月の中で、小売りの世界で競争原理が働き、安価で仕入れたものは激しい競争にさらされることとなり、市場価格を下げ続けて来た。更に製造現場ではコスト高により原価が上がっているのにも拘わらず、下がった売価の維持のために「量」で勝負をすることで、市場に大量の在庫が溢れ、それがまた市場価格を崩す一因となっている。品質に対する意識も、当然他社よりも安く、品質の良いものを売りとするべく、品質に対する基準も上げざるを得なくなった。これも企業が確保できる利益を圧迫し続けてきた。

解決策として、ベトナムやカンボジアなどの東南アジアに生産を移すトレンドもあった。しかし素材調達面やインフラ面のコストは、必然的に大きな生産ミニマムが必要となり、結局大企業が大量に生産するベーシックな製品しか対応ができず、トライはしたけど中国製に戻ってきた中小企業も多い。

日本のアパレル。まだまだ頭の中が20年前と変わらず、中国という巨大市場を「安く作って安く売る」という対象から頭が離れないまま、その麻薬的な負のサイクルを続ければ続けるほど、今後ますます打撃が拡大していくだろう。

もはや仕入れも安くない。そのくせ製造現場での品質に対する意識はは20年前と変わらずというのが実情、さてどうするのというのが今のものづくりの現状。

その問いへの解決方法は一つしかない。お分かりの人には分かりますね。